初めて「教える立場」になったとき、経験不足でも貢献できた理由

初めて「教える立場」になったとき、経験不足でも貢献できた理由

経験が少ない中で教える立場を任されると、「自分に務まるだろうか…」と不安になることもあると思います。

かくいう私もその一人で、新人の相談相手になる「チューター」という役割を、入社半年で任されました。

ただ、最初は不安がありましたが、数週間取り組んでみて気づいたことがあります。

教える=知識を伝えることだけではない。「誰が答えを持っているか」を知っていて、その人につなぐだけでも、十分に役立てるということです。

まずは「気軽に相談できる先輩」になろうとした

オーリーズのチューター制度の目的は、「新人が気軽に相談できる相手をつくる」こと。

入社半年の自分に何ができるか?と考えた結果、まずは「話しかけやすい存在になろう」と決めました。

初出社の日には、チューティーと一緒にオフィスをまわり、「本日入社した〇〇さんです!」と先輩たちに紹介。出社時は隣の席に座ってもらい、困っていることがないか様子を見ながら、こちらからも声をかける。毎日1on1の時間も設けました。

また、自分自身の失敗や苦労を共有することも意識しました。「私も最初はここが分からなかった」「これは大変ですよね」と伝えることで、一人で抱え込まなくていいと感じてもらいたかったからです。

「自分の知識」で答えられない質問もあった

チューターを続ける中で、「自分の持っている知識では答えられない質問」をされる場面も、もちろんあります。

たとえば、自分が経験したことのない媒体の機能について聞かれたときは、「うわ、分からない…」と内心焦ることもありました。

でも、何度か質問に対応するうちに、「自分が答えをもっていなくても貢献する方法」があることに気づいたんです。

経験が浅いからこそ気づけた「つまずきポイント」

私の場合、入社歴が浅く「自分がチューティーだった時の記憶」が鮮明でした。だから、「この人は多分ここの理解が曖昧なんだな」というところに気づけたんです。

「今の質問って、まずここの整理が必要だと思うんですが、そこから確認してみましょうか」と、相手とすり合わせながら進める。

そうやってつまずきポイントを整理した上で、「この部分なら〇〇さんが詳しそうだな」と当たりをつけて、つなげることができました。

自分が答えを持っていなくても、誰に聞けばいいかを知っていれば役に立てる。そう気づきました。

「教える=知識を伝える」という思い込み

振り返ってみると、私は「教える=自分の知識を伝えること」だと思い込んでいたのかもしれません。

でも実際にやってみて気づいたのは、自分が答えを持っていなくても、「誰に聞けば答えが出てくるか」を知っていれば十分役に立てるということ。

ちなみにこの考え方、組織論ではトランザクティブ・メモリー・システム(TMS)¹ と呼ばれているそうです。

特に、私たちのような非分業型の組織では、一人が幅広い領域に関わる一方で、特定の分野を深く極めるのは難しい側面があります。だからこそ、「この分野ならあの人が詳しい」という引き出しを持っていることが大事なんだと思いました。

チューターの役割は、まさにそこにあるのかもしれません。新人が「誰に何を聞けばいいか」を把握する手助けをすることで、組織の中にある知識をうまく活かせるようになる。

「初めて教える立場」に立つ人へ

チューター業務を依頼された当初は、「入社半年の自分に務まるだろうか…」と思っていました。

でも今は、知識や経験が十分でなくても、「誰が答えを持っていそうか」を知っているだけで、貢献できることもあると実感しています。

教えることって、「自分の知識や経験を伝える」だけじゃないのかもしれません。つまずきポイントに気づいて、適切な人につなぐ。それも一つの教え方なのかな、と思っています。

そのためにできることは、普段からいろんな人と対話する機会を持つこと。チームや部署が違っても、「この人は何に詳しいんだろう」と好奇心を持って聞いてみる。相手が話したそうなこと、得意そうなことを引き出していく。

経験が浅くても、できることはある。そう思えたことが、私にとって一番の収穫でした。


¹トランザクティブ・メモリー・システム(TMS)
組織内で「誰が何を知っているか」を把握している状態のこと。一人がすべてを知る必要はなく、必要な知識に「誰を通じてアクセスできるか」を知っていれば、組織全体として知を活用できるという考え方。

この記事を書いた人

株式会社オーリーズ

アドオペレーションズ・ストラテジスト

山下 響

新卒でIT企業に入社し、メディア業界のクライアントを中心にWebアプリケーションの開発から運用保守まで幅広く経験。ITエンジニアとして顧客を支援する中で、事業成長により深く貢献したいという思いが強くなり、マーケターへの転職を決意。クライアントの成果に徹底的に向き合う姿勢に共感しオーリーズに入社。

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